近年、大手企業を中心に「賞与の給与化」という制度が広がっています。
ソニーグループや大和ハウス工業など有名企業も導入を発表しており、今後は日本企業全体に普及していく可能性があります。
この記事では、賞与の給与化とは何か、そのメリット・デメリット、年収や手取りへの影響、さらには住宅ローン審査への効果までわかりやすく解説します。
賞与の給与化とは?わかりやすく解説
「賞与の給与化」とは、夏や冬にまとめて支給されていた賞与(ボーナス)の一部または全額を、毎月の給与に組み込んで支払う仕組みのことです。
導入する企業の例
- ソニーグループ:2025年から冬の賞与を廃止し、最大14%の月給アップ
- バンダイ:2022年より賞与の一部を月給化し、初任給を大幅アップ
- 大和ハウス工業:2025年から全社員の月給を平均10%引き上げ
賞与の給与化のメリット
1. 毎月の収入が安定
毎月の給与に組み込まれることで、生活設計が立てやすくなり、安心感が増します。
2. 採用力・人材定着に有利
求人で高い月給を提示できるため、若手人材の採用や定着に効果的です。
3. 人事労務の効率化
賞与計算や支給業務が減り、給与計算がシンプルになります。
賞与の給与化のデメリット
1. 人件費の固定化リスク
業績が悪化しても月給を減らしにくいため、企業側の負担が増える可能性があります。
2. 業績連動の調整力が低下
本来賞与は業績に応じて変動できる仕組みでしたが、給与化によりその柔軟性が弱まります。
3. モチベーション低下の恐れ
「成果が賞与で還元される」というインセンティブが薄れ、社員のやる気に影響する場合もあります。
4.ボーナス払い
車などのボーナス払いを設定していた場合、支払いの為お金を残さないといけない。
年収や手取りへの影響は?
1. 年収総額は維持されるケースが多い
多くの企業は「年収が下がらないよう」配慮して制度設計しています。
2. 手取りは減ることも
社会保険料や所得税の計算方法の違いにより、年間で数千円〜数万円程度、手取りが減少するケースがあります。
3. 家計は安定しやすい
毎月の収入が増える分、計画的に家計を組みやすくなるメリットもあります。
4. 将来の昇給・成果反映に影響
好業績時の大幅な賞与増額は期待しにくくなり、昇給や評価制度の比重が増す可能性があります。
賞与の給与化で税金や社会保険料が増える理由
- 社会保険料:月給ベースで毎月計算されるため、賞与時の軽減措置がなくなり、結果的に負担増になる場合があります。
- 所得税:給与として支給されることで、累進課税の影響を受けやすくなり、税率が上がる可能性があります。
例:年収600万円(うち賞与120万円) → 賞与を月給化(毎月50万円×12カ月)
この場合、総支給額は同じでも、手取りが減る可能性があります。
賞与の給与化と住宅ローン審査の関係
賞与の給与化は、住宅ローン審査ではプラス材料になるケースが多いです。
- 銀行は「安定的な収入」を重視するため、賞与依存よりも月給ベースの方が評価されやすい
- 源泉徴収票や直近の給与明細で、安定収入として確認できれば与信額アップの可能性あり
ただし、年収総額が変わらない限り借入可能額が大幅に上がるわけではなく、「安定性評価」が有利になる程度と理解しておきましょう。
まとめ
- 年収は大きく変わらないが、手取りは減少する可能性あり
- 毎月の安定収入が得られる一方、ボーナスによる「ご褒美感」はなくなる
- 住宅ローン審査では「安定収入」と評価され有利に働くことが多い
今後、企業による導入が進む中で、働く側にとって「安定を取るか、インセンティブを取るか」という選択が求められる時代になりそうです。